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西条柿

広島県は、古くから柿の産地として有名です。なかでも西条柿は、優れた品種の一つとして全国的に知られています。
この西条柿の由来については、江戸時代初期の作と推定される「長福寺縁起」に、「暦仁元年(1238)、長福寺の僧侶信が本尊薬師如来座像の霊夢を受け、弟子の信常を鎌倉の永福寺へ遣わし、種を持ち帰り境内に植えたのが原種である」と記述されています。また、4代将軍頼経の子が疱瘡をわずらった際に、この西条柿を食したら病が完治したことから、長福寺に対して寺領が寄進され、以後代々の将軍に毎年西条柿を献上したと伝わっています。
江戸時代、広島藩の特産物として西条柿は広く全国に知られました。藩では、賀茂郡西条柿奉行の制を設け、柿の増産に力を入れていました。長福寺には、幹回り4.8mという柿の古木が文化・文政年間(1804~30)頃まで存在し、この柿だけが「西条柿」という固有名詞で呼ばれていました。また、この頃には「つる柿」としても珍重されていたようです。
現在、各地で植えられている西条柿の原木がこの地にあったことから、西条柿発祥の地、ゆかりの地として伝えられています。
 (長福寺市史跡 西条柿伝承地 より)

原木を製材してみると、木にはいtろんな木目が表れます。木目が面白く変化して、見るからに美しいものを俗に"杢(もく)"とよんでいますが、その杢にもいろいろなものがあります。柿の木を伐ってみると殆どの柿は白く何の杢もありませんが、稀に黒い杢が表れることがあります。この黒い杢の表れた柿の木を"黒柿"と呼びますが、その確率は1万本に1本とも、孔雀杢にいたっては10万本に1本ともいわれています。

黒柿の杢には、孔雀杢 ・ 縞 ・ べた黒があります。
孔雀杢は、柿特有のもので、他の木では絶対に見ることはできません。原木の切口に表れる柄、模様が孔雀の羽毛の如く黒青黄緑金など数色入り大変美しく、木の宝石と呼びたいくらいです。柿に何故このような現象が生じるのか謎とされていますが、一説によると菌の作用によって発生すると言われています。火をつけると緑色の煙を出して燃える不思議な木でもあります。

孔雀杢は、中国地方では山間部に自生するゲス柿と呼ばれる渋柿に良質なものが多く発見されますが、長野県や新潟県では甘柿にみられるというから全く不思議です。原木に直径20cm以上の素晴らしい孔雀杢がでると㎥200万~500万円の高値がつくこともあるようです。特に広島県は良質の材がでることで知られています。

縞柿は、柿の原木の切口に年輪のような状態で黒いすじが輪になって出ています。これを製材すると、挽面に黒色の縦縞模様が表れ、俗にしま柿とかすじ柿と呼ばれ、木芸品の材料として喜ばれ、大変高価なものであります。

べた黒は、柿の原木の切口中央に墨を塗ったような黒色の輪が出てくるものです。何の模様もなく黒一色の場合、俗にべた黒と呼んでいます。孔雀や縞ほどの値打ちはありませんが、木芸品の用材として炉縁、象嵌、茶道具などに重宝されています。西条柿の原産地であります東広島市や広島県賀茂郡内でべた黒の西条柿をよく見ますが、高樹齢の木が多く、私の加工したべた黒の輪切衝立は根元直径が1m80cmもあり、見に来られた方は一様に驚かれております。
〒739-2504広島県東広島市黒瀬町宗近柳国1121番地
原産西条黒柿工芸 工房さこだい
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